2026.09.21 17:10 読了。

なんだ、この小説。面白いよって薦められて読んだけど、今まで読んだ小説の中で一番斬新だった。

何せ主人公の中にいる生殖本能を操るホルモン?がずっと話しているんだもん。そんな小説今までにあった?って読み始めた時は思ったけど、途中からはそんなこと全然気にならなくなる。むしろ、ホルモンのノリが面白くて、ホルモンの言葉に思わずくすっと笑ったり、ハッとなったり、ついつい世界観に引き込まれた。

主人公である尚成はゲイの男性ということで、最初はLGBTQをテーマにした作品なのかと思って読み進めてた。だけど、読み終わったときにはマジョリティとマイノリティの対比であったり、痛烈な社会風刺の作品なんだって思い直した。

特に「他人の目を気にするな――ヒトの世界でよく聞く言葉ですけど、これって単純に”他人の目”自体がコロッコロ変わるからアテにするなっていう意味だったんですね。」という一文。ここでいうマジョリティは異性愛個体で、マイノリティは同性愛個体を指しているわけだけれど、「たしかに」と唸った。

実際に尚成はマジョリティ側から何かをされたわけではないにしろ、察してずっと擬態して自分を殺してきた。そうしないと生きていけないから。自分のことを理解してほしいと思っても、理解してもらえるとは思えない。だから諦めないとやってられない。なんだかそれが悲しくて、なんでこんな世の中になっちゃうんだろ。人間って本当に愚か、って思っちゃった。私も同じ人間なのにね。

私はLGBTQの視点でいえば異性愛個体だけど、家庭環境とか育ってきた環境が少し特殊なんだよね。マイノリティ側の気持ちやあの疎外感、マジョリティに説明して理解してもらわないといけない、みたいな感覚は身に覚えがある。だから、尚成の諦めないとやってられないという絶望感みたいなのはちょっとだけわかる気がして、余計に切なくなった。

だからこそ、最後に尚成が希望を捨てずに選んだ未来とこれからの生き方は素晴らしいと思ったし、心から尚成を応援したいと思った。読み終わった瞬間「尚成、がんばれ!!」って熱くなったもん。

いろいろ考えさせられるこの作品、読めてよかった。私は私だから相手が伝えたいことをすべて理解するのは難しいことはわかってる。だとしても、相手のことを尊重できるような大人になりたい。